9月18日、練馬区立 区民・産業プラザ(ココネリ)にて「漫画家向け電子書籍化勉強会」を開催しました。
当日は、漫画家を中心に8名の方にご参加いただきました。
内容
・電子書籍の書店・取り次ぎ・出版社の仕組み(伊藤)
・漫画家さん視点の契約書の読み方(津田)
・漫画の電子書籍データの制作過程(古市・なせ)
講師には、大洋図書編集・津田潤一氏、伊藤勝幸氏を迎え、上記の内容をお話いただきました。またメニイコア古市威志となせもえみからも、制作手順とそれに関連した話をいたしました。
まず「電子書籍の書店・取次・出版社の仕組み」では、複雑な業界分布の理由を教えていただきました。電子書籍は再販制度枠外のため、書店・取次・版元全てにおいて、さまざまな業者が参入してきた歴史があります。
初期は混乱もありましたが、現在は整備され業界も安定してきていますとのことです。
配布資料の業界地図を参考に、個々の書店について、規模や背景、得意分野、いま注目すべき書店など、漫画家個人ではなかなか把握できない面を解説していただきました。
例えば、紙の流通ではおなじみの取次の名も電子では登場しません。電子は電子特有の別の取次が存在しています。
次に「漫画家さん視点の契約書の読み方」では、漫画家、すなわち著作権者が、契約書で気をつけることを教えていただきました。
ここがチェックポイント、という点にマーカーが引かれた契約書のカンプを使い、項目ごとに解説していただきました。
契約する、ということは、基本独占契約であること。そしてなぜ独占契約でなければといけないのかという理由。独占契約は縛るものというよりは、海賊版などから守るという面もある、というお話をしていただきました。
電子書籍の舞台はいろいろな面で整ってきています。
しかしながら、その事実を漫画家自身が、特に過去作をお持ちの作家さんがご存じないことも多いのです。また、勉強不足の編集者によって、誤った情報や憶測が飛ぶこともあるようです。
こうした中、漫画の電子書籍業界に黎明期から関わり、走り続け、今も現役で現場と関わっていらっしゃる大洋図書編集の津田氏、伊藤氏のお話を聞いていただく機会を作ることは、必ず業界のお役にたつと考えてます。
最後にメニイコアの制作過程も紹介させていただきました。
漫画の電子書籍制作を始めてまだ2,3年ですが、IT系編集×漫画家のユニットとして、制作面でもエージェント面でもお応えできるようになってきました。
メニイコア古市威志の専門はIT系のため、漫画の電子書籍制作については独学で学び、現場でトライアンドエラーをしながら、制作方法や制作手順を作りあげてきました。品質を落とさずの時短も研究し、制作スピードは格段に上がっています。
漫画の電子書籍制作は、あたりまえですが、漫画、原稿があってこそです。
今回、ご参加くださった漫画家さんは、ほとんどの方がデジタルでバリバリ制作されているので、制作過程そのものはすでにご存じだったかもしれません。。
それでもあらゆる作家の刷り出しや原稿を200タイトルほど扱ったことで、見えて来たこともあります。
私、なせもえみからは、そんな部分を伝えさせていただきました。
当日の勉強会は、少人数ということもあり、登壇という形は取らず、講師と距離の近いお茶会形式で進めました。
フランクな雰囲気のためか、参加者からも活発な質問があがり、そのたびに講から丁寧な解説をいただきました。
手探りで始めた初の企画、勉強会の開催でしたが、アンケートによれば、ご好評いただけたようです。
次回開催は決まっていませんが、アンケートにいただいたご意見も踏まえ、開催希望があがったときや必要を感じたときに、また企画して行きたいと思います。
最後に、ご参加のみなさま、お忙しい中お運びいただきまして、ありがとうございました。ご参加のみなさまが真剣に取り組んでくださったおかげで、とても価値ある勉強会になりました。
みなさまにとっても、有益な時間であったことを願っております。