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「Scratch 2018 Tokyo」に参加しました。その1

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10月20日、六本木アカデミーヒルズ49Fで開催された「Scratch 2018 Tokyo」に、ときめきプログラミングの著者4人で参加してきました!

「Scratch 2018 Tokyo」は日本初のScratchのカンファレンスになります。
開催の経緯は、こちらのICT教育ニュースをどうぞ。
https://ict-enews.net/2018/08/10scratch/

基調講演では、Scratchの開発者であるMIT(マサチューセッツ工科大学)のミッチェル・レズニック教授と日本のインターネットの父とされる慶應義塾大学大学院の村井純教授が登壇されました。
司会はこのカンファレンスの大会委員長でもあられる青山学院大学教授の阿部和広先生です。

最初に阿部先生から日本におけるScratchの概略を伺いました。

2004年1月 初めてScratchのコミュニティが確認。この頃は研究者が対象だった。
2008年1月 ミッチェル・レズニック教授によって一般の人にも紹介された。
(その3ヶ月前には、阿部先生は独自に日本語版のScratchを作っていらした)
2008年◎月 日本初のScratchワークショップ。埼玉県川口市で中山晴奈さんと倉本大資さんによって開催される。
2009年1月 初のScratch本「スクラッチアイデアブック」(石原正雄氏)
2009年5月 日本で最初のScratch Day
2011年7月 初の日本語フォーラム

現在、日本のScratch登録人数は334,710人。
この数は世界の1.09%にあたり、この1年で約1.7倍、急激に増えている。
※以上の内容は、スクラッチ東京のライブストームの映像で確認させていただきながら書いています。

次にミッチェル・レズニック教授のお話。
教授はMITでクリエイティブラーニングのリサーチをされているとのことです。

基調講演の冒頭で、教授は子どもたちがScratchを使って作ったプロジェクトの発表に立合った時の様子を伝えました。
子どもたちは自分の興味の追求や生活の中に見つけた小さな問題解決のためのプロジェクトをたてて、プログラミングし完成させました。その視点の持ち方もさることながら、子どもたちは発表のあと、お互いのプロジェクトについて、どのように作ったのか、どうすればもっと良くなるかなどを語り合いました。
教授はこの点をとても評価し、いかに子ともたちが素晴らしく、このような学びあいが重要であるかを語りました。

Scratchは「MITメディアラボ ライフロング キンダーガーテン グループ」によって公開されていますが、グループ名が示すように「子どものように夢中になって遊ぶ」ことが大切であるとのこと。ものを作る機会によってクリエイティブな能力が磨かれていくと考えられています。Scratchはそうした趣旨で研究開発されたプログラミング言語です。

MITメディアラボ ライフロング キンダーガーテン の「子どものように夢中になって遊ぶ」ことの趣旨はこちらの記事が分かりやすいかもしれません。
https://courrier.jp/info/19463/

Scratchは教育用として無償で提供されています。
ブロックを組み合わせるという直感的で小さな子どもでも参加しやすいこのScratchが背景には、貧富の差や住んでいる場所に関係なく、すべての人にプログラミングに触れる機会をとのことです。

一方で、Scratchコミュニティで公開されるプロジェクトは、そのままクリエイティブコモンズの「CC–BY-SA 」となります。これは作者は著作権を保持しつつ、受け手は著作権者を明示することで自由に改変したプロジェクトを発表することができます。

クリエイティブコモンズについてはこちらをどうぞ。
https://creativecommons.jp/licenses/

Scratchはブラウザベースで動くというのも大きな特徴です。
世界中からプロジェクトへの参加やの共有が容易であるというのは、多様性を受け入れられるベースがあるということで、様々な協同作業や学び合いがを起こりやすくなると考えられています。

また、来年正式に発表されるScratch3.0は、パソコンだけでなくスマホやタブレットでも操作できるようになります。これまで以上にスプライトや音声素材が増え、外部デバイスとの連携も出来るようになります。ますます魅力的になり、使用できるデバイスが一気に増えることで、Scratcherの増加も見込まれます。

会場では3.0の紹介を兼ね、教授自らプロジェクトにして見せてくださいました。
特に身体を使っての連携は、子どもたちの興味をさらに引くことかと思います。

日本でも2020年より、プログラミングの必修化が謳われていますが、教授はプログラミング教育においては4つのPが大切であるとお話しされました。

projects(企画・ものづくり)生活や自分自身からテーマを見つける
passion(情熱)好きなことを夢中でやる
play(遊ぶ)楽しんでやる
peers(仲間)仲間と協力しあう

この先AIが発達していけば、ルーチンな労働はAIに任されるようになっていくでしょう。人間はプログラミング的思考を身につけ、よりクリエイティブな能力を発揮していくことで、この先の不透明な時代を生き抜くことが出来るでしょう。

この話を突き詰めていくと、今の学校体制や教える側の考え方も変わって行かないと成り立たないことのようで、なかなか厳しそうに思います。

教授は近い未来としては悲観的だが、遠い未来には楽観的だと語りました。
現実には難しい問題も沢山ありますが、解決に向けて向き合う姿勢が、いつか望みを叶えることでしょう、と。
開発者の想いを生で聴くことがてき、良かったと思いました。

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